書店員がおすすめの本を紹介するコーナー。 2023年6月号
2023/6/1(木)
『人権思想とキリスト教 日本の教会の使命と課題』
森島豊(著) (教文館) 1500円+税
昨年の参議院選挙で、「クリスチャン」政治家が、ある政党の比例区から出て当選しました。
じつは以前より、その政党の政策をみるにつけ、その底流にある人権感覚の乏しさ、というより度の過ぎた軽視と思われるところに(たとえば思想信条や信教の自由に関して)危うさを感じていましたので、この組み合わせには正直たいへん戸惑いました。
本書は、今日の人権思想の基盤をキリスト教がいかに支えてきたかを、内外の人権思想史を丁寧にたどりながら説明しています。逆に言えば、真のキリスト教信仰は、当然のように人権を尊ぶ感覚を生むということです。
本書を読んで、「クリスチャン」政治家と言っても、その実質がどうであるかというのは、全く別の問題だと思いました。