書店員がおすすめの本を紹介するコーナー。 2024年9月号
2024/9/9(月)
くまとやまねこ
作: 湯本 香樹実 絵:酒井 駒子 出版社:河出書房新社 1,430円(税込)
いつも一緒にいた仲良しのことりが死んでしまったくまは、小さなきれいな箱を作って、そこにことりを入れて、ずっと持ち運びます。
「くまくん、もうことりはかえってこないんだ。つらいだろけど、わすれなくちゃ」と、森の動物たちは言うのですが、くまは自分の家のとびらに中から鍵をかけてひきこもってしまいます。
そんなとき、くまは旅の途中のやまねこに出会います。
・・・この絵本は、愛する人をなくした時、自分の中に生まれた悲しみと喪失感を、どうやって受け入れていくのかを、優しい絵と文とで表現しています。
悲しみや喪失感は、決してなくならないけれど、形を変えて、私たちを豊かな生へと導いてくれる。そのために必要なのは、やはり人とのかかわりなのだと、教えてくれる本です。