書店員がおすすめの本を紹介するコーナー。 2025年2月号

ヨチヨチ父 ―とまどう日々―
ヨシタケシンスケ著 ポプラ社 1200円(税別)

ヨシタケシンスケさん自身が、ご自身が父になったときの、とまどいの日々を、書いた(描いた)イラストエッセイ集です。
あかちゃんだけでなく、お父さんもまた、ヨチヨチ歩きの「生まれたてのお父さん」なのですが、周囲からの期待(特に妻からの)は大きく、良かれと思ってかけた妻への思いやりの言葉も、逆に妻の怒りに火をつけたりします。
たぶん、本当はお母さんだって、「生まれたてのお母さん」なんです。でも、そんなことも言っていられない、やるしかない育児の日々に、母親はガン
ガン強くなりますが、お父さんはなんとなくその後をちょっと間の抜けた自信なさげな顔をして着いて行く、というとまどいの日々がつづられています。
生まれたてのお父さんの目から見た、あかちゃん、家族、社会には、今までとはちょっと違う、たくさんの新鮮な発見があります。
あかちゃんという家族ができたお父さんは、たとえば、「身近な人々の事情が、想像以上にバラバラだ」ということに驚きます。(P12)
たしかに、私達は、1人1人、みんな違う事情を抱え、違う選択をして生きています。「こうなっていたらなあ」という実現しなかった夢もあります。それでも、今の自分を一生懸命に生きています。
「そんなお互いが気を使いながら、共通点を探しながら、それでも楽しくやっていこうとする。大人ってえらいなあ、すごいなあ、と思います」(P13)と、著者は言います。
そして私は、「本当に、そんな大人になりたいなあ」と、つくづく思うのです。