書店員がおすすめの本を紹介するコーナー。 2025年3月号
2025/3/1(土)

帰れない村
福島県浪江町「DASH村」の10年
三浦英之 集英社文庫 620円+税

2011年の福島第一原発事故から14年。
復旧、復興の言葉もむなしいほどに、今もフクシマは深く傷ついたままだ。
元住民など百数十名のインタビューをもとに本書は出来た。原発は何をもたらしたのか、そこで暮らしていた人々はどう生きてきたか。
そこにある絶望と希望。
10年を越え、フクシマはメディアからも人々の記憶からも、遠くなりつつある。
でも、と著者は言う。
「『村』の時計は、震災10年でも11年でもなく、まだ針が『ゼロ』で止まったままなのだ。 〔…〕だから忘れないでいよう。〔…〕3.11は過去を振り返る記念日ではない。 それは未来について考える日だ。」