書店員がおすすめの本を紹介するコーナー。 2025年7月号
2025/7/1(火)

測りすぎ
なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
THE TYRANNY OF METRICS
ジェリー・Z・ミュラー 松本 裕 訳 みすず書房(3,300円 )

例えば手術成功率の高さを売りにしている病院があるとする。
ところがよく見ると、その病院では、リスクの高い患者を避ける傾向がある。
補助金を受けた大学は、どれだけ成果を挙げたか、数字で報告を求められる。
「結果」の出ない研究は避けられ、時間のかかる研究や目に見える利益の出ない企画には補助金がつかない。
いま、社会のあちこちに「測り過ぎ」があふれている。説明責任を果たすための数値化が、かえって物ごとの本質を分かりにくくさせている。
考えさせられる一書です。 (た)